「すごいトシヨリＢＯＯＫ～トシをとると楽しみがふえる（池内紀著・毎日新聞出版2017刊）」を読んだ。池内紀（いけうちおさむ1940生れ）氏はドイツ文学者・エッセイストで、主な著書に「ゲーテさんこんばんは」「カフカ小説全集」「ゲーテ・ファウスト」「アメリー・罪と罰の彼岸」「日本の森…… more を歩く」などがある。------ 池内紀氏は東京外大卒で東大大学院修士課程を修了し、神戸大助教授・都立大教授・東大文学部教授を務め、55歳で教職を退き以後著述業に専念してきたようだ。----- 「すごいトシヨリＢＯＯＫ」は自身が70歳となってから77歳になるまでの7年間の自己観察エッセイ集となっている。これからの高齢化社会を彷徨うであろう後続世代に対して、羅針盤の一つとなるように転ばぬ先の杖と云ったお気持ちで自分が自分の老いに向き合ってきた日常のノウハウを開陳して呉れている優れ物と思った。----- 池内紀氏は健康法とかファイナンスとか老後の資金とかには興味が無いようであり、そのようなノウハウを求める方には肩透かしに思えるだろうけれど、老後を楽しみたいと思う男性なら読んで意義がある事に多々気付くことだろう。----- だから老後の資金はある程度あり、健康もそこそこ保たれていて、毎日を送る事に思い悩み自身を持て余している方にはとても参考になること請け合いと思った。------ お出かけのリュックには銀行（3万円）も駄菓子屋（飴玉とチョコ）も薬局（風邪薬・胃腸薬・痛み止め）も詰め込んでいるなどの知恵は直ぐに使えそうである。ワインのラベル集めとか煎餅のパッケージ集めなども楽しそうである。老化を3段階に分けて自身や周辺の人達を観察したようだが、話しの横取り症・過去捏造症・忘却居士の順で老化が進むと診ている。そして、70歳で始めた老化の自己観察予定では77歳までに他界するだろうと考えていたそうだが、そうならなかったのでこれからは3年刻みでまた自己観察をしていく予定を立てたそうだ。自分を自分が観察するのが一番面白いのだと気付けば、老人でなくても誰でも気が楽になること請け合いだ。 close

古都奈良・修学旅行と世界遺産の街（その５６６）